専業主婦で熟年離婚は不安…離婚後の生活費の捻出方法

60代で離婚することになりました。離婚できるのは嬉しいけど、専業主婦だったので今後の生活費が不安です

厚生労働省の調査によると、1980年代に約2万件だった熟年離婚の件数が20年で約4万件と、2倍に増加しています。

問題は、若い頃の離婚と違って熟年離婚では生活面での不安を抱えやすいことです。特に長年専業主婦だった方は社会人経験のブランクが長いので、悩みはより深刻と言えます。

この記事がおすすめの人
  • 熟年離婚が決まった専業主婦の方
  • 離婚時や離婚後にもらえるお金について知りたい
  • 離婚後にどれくらいの生活費が必要か知りたい

そこで本記事では、熟年離婚を控えている方に向けて、離婚後も経済的に安心して暮らすために必要な情報をお届けします。

具体的には、熟年離婚後にどれくらいの生活費がかかるのか、主な収入源はどうすればいいのか、離婚時または離婚後にもらえるお金には何があるのかなどです。

「もらえるお金は全部貰っておきたい!1円も損をしたくない!」という方は参考にしてください。

  • 一人で離婚準備を進めるのが不安
  • 不倫の証拠集めってどうやるの?
  • 損をしないような離婚協議書を作成したい
目次

専業主婦だったけど暮らせる?熟年離婚後にかかる生活費

長年専業主婦をしてきた方にとって、今後1人で暮らしていけるかは重要な課題の1つでしょう。

そこでまずは政府統計を基に、熟年離婚後にかかる生活費を紹介します。

18歳〜59歳で約17万円〜18万円

政府統計によると、一般的に女性が1人暮らしで必要とする1ヶ月の生活費は、

  • 18歳〜34歳が172,242円
  • 35歳~59歳が182,527円

となっています。

なお、生活費には食費、住居、光熱費、水道代、家具家電、衣服、医療費、交通費、通信費、娯楽費、交際費などが含まれます。

60歳以上で約15万円前後

同様に政府統計によると、熟年離婚をした女性を含む60歳以上の女性の1人暮らしの生活費は151,414円となっています。ただし、あくまでもこの数字は一般的な平均値です。

これまで専業主婦として家計を効率化してきた経験やノウハウがあれば、それらを基に生活費をより抑えられる可能性はあります。

参考:1世帯当たり1か月間の収入と支出(e-Stat)

【熟年離婚後】専業主婦だった人の収入源は?

熟年離婚を控える専業主婦の方が抱える不安の中でも、大部分を占めるのが「収入源」です。

「特別なスキルや知識や資格がない場合は、アルバイトやパートしか選択肢がないのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。

そこでここでは、専業主婦だった人が今後収入源にできるものを紹介します。

年金分割による収入

熟年離婚をする方が期待できる労働以外の収入源の1つが「年金分割」です。ここでは年金分割について解説します。

年金分割とは

長年、専業主婦やパートタイマーとして働いてきた女性が突然正社員やフルタイムの職に就くのは容易ではありません。そこで重要になってくるのが年金分割です。

年金分割とは、離婚後に配偶者の一方が納付した年金保険料の実績を、もう一方の配偶者の納付実績として取り扱う制度を指します。

これはよく誤解されがちですが、支給される年金そのものを分け合うものではありません。あくまで、婚姻期間中に支払われた年金保険料の実績を分け合う制度です。

例えば、夫も妻も厚生年金保険に加入している共働き夫婦の場合を考えます。

夫の平均収入が月額50万円、妻の平均収入が月額30万円だとすると、夫の方が毎月納めている年金保険料は多いです。この場合、年金分割により、婚姻期間中に夫婦双方が支払った年金保険料を合計し、その半分ずつが夫と妻それぞれの納付実績として計算されます。

専業主婦の年金分割

妻が専業主婦で、夫が厚生年金保険に加入している場合、妻は保険料を支払わなくても国民年金の第3号被保険者として扱われます。その結果、夫は将来、国民年金と厚生年金を受給し、妻は国民年金を受給します。

しかし、離婚すると妻は国民年金だけになってしまうため、年金分割により婚姻期間中に夫が支払った厚生年金保険料の半分が妻の支払ったものとして扱われ、これを基に将来の妻の年金額が算定されます。

年金分割の手続き

ポイントとなるのは、専業主婦など国民年金の第3号被保険者が離婚した場合、夫の同意がなくても日本年金機構に年金分割(3号分割)の請求をできる点です。

一方、夫婦ともに厚生年金に加入していた場合、離婚に伴って年金分割をおこなうには夫婦の合意が必要となります。

アルバイトやパートをして働く

貯金や年金分割だけで生活できればまだいいですが、多くの場合は別の収入源が必要です。

そこでここでは、専業主婦でも就業可能な仕事をいくつか紹介します。

  • 家事代行サービス

長年の主婦業で培ってきた家事のスキルを活かせる仕事として、家事代行サービスがあります。

掃除、洗濯、料理など、日常的な家事を提供するサービスであり、自宅での経験がそのまま役立ちます。また、働く時間帯や日数を自分の都合に合わせて選べる場合が多いのも魅力です。

  • 喫茶店・カフェの厨房

喫茶店やカフェの厨房で働くことも現実的です。料理や飲み物の準備、片付けなどの業務を担当しますが、家庭料理の経験が活かせる場面が多いでしょう。

飲食業界での仕事は忙しい時間帯がありますが、短時間のシフトを選べる職場も多いため、体力的に無理なく働くことが可能です。

  • 介護職

介護の資格を取得すれば、介護施設やデイサービスでの仕事も選択肢に入ります。高齢者とのコミュニケーションが得意な人には特に向いているでしょう。

  • 事務・データ入力

基本的なパソコン操作ができれば、事務やデータ入力の仕事もおすすめです。特に経理や総務の経験がある人は、そのスキルを活かせるでしょう。

熟年離婚時に手に入れられるお金

年金分割以外にも、熟年離婚時に手に入れられるお金は複数あります。ここでは熟年離婚時に手に入れられるお金を3つ紹介します。

貯金などの財産分与

熟年離婚の際にまとまったお金を手にいれるには、財産分与が重要です。婚姻期間中に夫婦が共同で築いた財産は、離婚時に公平に分けられるべきものとされています。

これには、銀行口座の貯金、不動産、投資信託、株式などが含まれます。財産分与の対象となる資産を明確にリストアップし、適切に分割することが大切です。

退職金も財産分与の対象になる

退職金も財産分与の対象となります。特に、長年勤務した会社から支給される退職金は高額になることが多く、これをどう分けるかが熟年離婚の際の大きな問題となります。

なお退職金は、将来受け取る予定のものも含めて、婚姻期間中に発生した部分を計算し、適切に分割されます。これにより、離婚後の生活資金として活用することが可能です。

自宅をリースバックして現金分割

自宅の資産を現金化する方法としてリースバックがあります。リースバックとは、自宅を一旦売却し、その後も賃貸契約を結んで住み続ける方法です。

この手法を用いることで、自宅を売却した際の売却益を現金として分割し、離婚後の資金として利用できます。

これにより、住む場所を変えずに必要な資金を手に入れることができるため、特に年齢を重ねた夫婦にとって有益な選択肢となっています。

このように熟年離婚時に手に入れられるお金にはさまざまな選択肢がありますが、各家庭の離婚事情によってどのお金が手に入るかは異なります。

中には財産分与を巡ってトラブルや訴訟問題にまで発展するケースもあるほどです。円満離婚でない場合は、そういったリスクも考慮して離婚の準備を進める必要があるでしょう。

もしも熟年離婚に際して経済的な不安がある場合は、離婚の相談先として『離婚プランナー』への相談も検討してみてください。

離婚プランナーとは?

離婚プランナーとは、離婚を切り出せない方や離婚協議書を作りたい方、離婚準備の相談相手が欲しい方のためのサービスです。

専業主婦の方の場合、財産分与で損をする可能性が高いので、一般的には弁護士に相談する人が多いです。しかし、弁護士への相談は費用も高額であり、ハードルが高くなります。そこで気軽に離婚の相談ができるのが『離婚プランナー』がです。

離婚プランナーのサービス内容

離婚要望書の作成や離婚協議書の作成をサポートしてくれる他、離婚後のアフターサポートもしてくれます。

魅力的なオプション

離婚を有利に進めるために必要な不倫の証拠の確保方法、養育費の支払いが滞った場合の建て替えサービスなど、離婚に関する幅広い相談が可能です。

実際に60代で熟年離婚した人の生活費の事例

ここでは実際に60代で熟年離婚した方々の、離婚後の生活費の事例を紹介します。

Aさん:65歳の熟年離婚例

プロフィール

年齢:65歳

離婚時年齢:60歳

離婚理由:価値観の違い

就業状況:パートタイム

▼収入

年金:月額9万円(年金分割後)

パート収入:月額5万円

▼支出

家賃:月額6万円

食費:月額3万円

光熱費:月額1万円

通信費:月額0.5万円

その他:月額2万円

総生活費:月額12.5万円

▼補足情報

  • 60歳で熟年離婚を経験し、現在は65歳
  • 年金分割により月額9万円の年金を受け取っている
  • 生活費を補うために週3回、地元のスーパーマーケットでパートをしており、月額5万円を稼いでいる
  • 総生活費は月額12.5万円で、余裕のある暮らしではないが、好きな趣味や友人との交流を楽しんでいる

Yさん:68歳の熟年離婚例

プロフィール

年齢:68歳

離婚時年齢:62歳

離婚理由:夫の定年後の関係悪化

就業状況:無職(退職済み)

▼収入

年金:月額9.5万円(年金分割後)

貯金取り崩し:月額3万円

▼支出

家賃:自宅持ち家のため不要

食費:月額3万円

光熱費:月額1.5万円

通信費:月額0.5万円

医療費:月額1万円

その他:月額2.5万円

総生活費:月額8.5万円

補足情報

  • 62歳で夫との関係悪化により離婚
  • 離婚時に財産分与として夫と共有していた貯金の半分を受け取り、その貯金を月額3万円ずつ取り崩しながら生活している
  • 年金分割により月額9.5万円の年金を受け取っており、自宅持ち家のため家賃は不要
  • 総生活費は月額8.5万円であり、医療費などの必要経費を賄いつつ、健康的な生活を心がけている

まとめ

熟年離婚は財産分与の話し合いや新たな収入源、住居の確保など、課題が山積みです。特に専業主婦にとっては社会復帰が難しい場合も多いので、離婚が完了するまでにどれだけ入念に準備ができていたかがその後の人生を大きく左右します。

どれくらいのお金が手に入るのかをしっかりと把握し、一人暮らしの収支シミュレーションも十分にしておく必要があるでしょう。こういった作業が苦手な方や誰かに相談したいという方は、ぜひ離婚プランナーの利用を検討してみてください。

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この記事を書いた人

二児を育てるママライター。親の介護、葬儀、相続を経験し、その苦労を知る。超高齢化社会のいま、自分と同じ経験をする人々を助けたいと考え、セカンドライフをサポートするWEBメディア「えんがわ」に参加。

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