不動産売却の前に押さえたい「よくある失敗」と成功のコツ

よくある失敗

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不動産売却は老後資金の確保や相続対策として、シニア世代にとって大きな決断の1つです。

しかし、少しのミスが手続きの遅れや予想外の出費につながり、後悔することも少なくありません。

書類の準備不足や相場の確認を怠ると、希望する価格で売却できない可能性があります。

また、税金や費用の計算違いで資金計画が崩れたり、境界トラブルや内覧準備不足が売却の実現を大幅に遅らせることもあります。

この記事がおすすめの人
  • 老後資金の確保のために不動産売却を考えている方
  • 初めての不動産売却で不安を感じている方
  • 不動産売却における税金や費用の負担をできるだけ減らしたい方

そこで本記事では、不動産売却でよくある失敗例とその対策、売却を成功させるためのポイントについて解説します。

必要書類の準備から業者選び、販売活動、確定申告に至るまで、不動産売却のおおまかな流れに沿って解説するので、初めて売却を行う方はぜひ最後まで読んでみてください。

目次

不動産売却でよくある失敗例

よくある失敗例

まずは不動産売却でよくある失敗例を、不動産売却の流れに沿って解説します。

  • 準備
  • 業者選び
  • 販売活動
  • 決済・引渡し
  • 確定申告

以上の順に解説するので、参考にしてください。

1.不動産売却の準備における失敗例

準備

不動産売却の準備におけるよくある失敗例は、

  • 書類不足でスムーズな取引ができない
  • 土地の相場を知らずに交渉が進まない
  • 売却にかかる税金や費用を読み違えた
  • 隣地との境界を確定していなかった

以上の4つです。それぞれ解説します。

必要書類の不足でスムーズに売却できない

必要書類を準備せずに不動産業者へ相談すると、売却がスムーズに進まないことがあります。

一般的に不動産売却で必要とされる書類は以下の通りです。

登記簿謄本または登記事項証明書:所有する不動産の登記を証明する書類

物件購入時の重要事項説明書:土壌汚染や浸水履歴などの情報が記載された書類

売買契約書:譲渡所得税を計算する際に必要な書類

固定資産税納税通知書および評価証明書:移転登記時の登録免許税計算に使用する書類

登記済権利書または登記識別情報:所有権を証明する書類

地積測量図や境界確認書:土地面積や境界線情報を記載した書類

建築確認済証および検査済証:建物が基準を満たしていることを示す書類

土地の相場を知らずに交渉が進まない

事前に土地の相場価格を把握していないと、不動産業者が提示する査定額が妥当かどうか判断できません。以下のサイトで相場を調べると便利です。

不動産情報ライブラリ:過去の売買取引事例を確認可能

全国地価マップ:路線価を検索可能

国土交通省地価公示・都道府県地価調査の検索:地価公示価格を確認可能

これらを活用し、複数の情報を比較することが重要です。地価相場は変動するため、最新の情報を入手することも忘れないようにしましょう。

売却にかかる税金や費用を読み違えた

不動産売却では、税金や費用が多くかかるため、事前にしっかり把握しておかないと資金計画が崩れ、売却自体が失敗するリスクがあります。

以下に、不動産売却時に発生する主な税金や費用をまとめたので参考にしてください。

【不動産売却にかかる税金】

・登録免許税

土地や建物の所有権を買主に移す際に発生する税金です。土地と建物、それぞれの登録免許税の計算方法は以下となります。

 土地:土地の価格(固定資産税評価額)×1.5%

 建物:建物の価格(固定資産税評価額)×2.0%

なお、登録免許税の軽減税率は要件によって税率が異なるため、詳細は国税庁のサイトを参照してください。

参考:No.7191 登録免許税の税額表|国税庁

・印紙税

売買契約書などに貼付する必要がある税金で、取引金額に応じて税額が決まります。以下の表を参考にして下さい。

金額印紙税
50万円超100万円以下1,000円
100万円超500万円以下2,000円
500万円超1,000万円以下10,000円
1,000万円超5,000万円以下20,000円
5,000万円超1億円以下60,000円
1億円超5億円以下100,000円
5億円超10億円以下200,000円
10億円超50億円以下400,000円
50億円超600,000円
金額の記載のないもの200円
引用:「印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」(国税庁)

・譲渡所得税

売却益(譲渡所得)が出た場合に課税される税金です。譲渡所得の計算方法は以下の通りです。

 譲渡所得 = 譲渡価額 - (取得費用 + 譲渡費用)

譲渡価額:最終的に売却できた取引価格のこと

取得費用:土地の購入費用や建物の建築費用など、不動産の取得に要した費用。なお、建物に関しては建築費用から減価償却費を差し引いた金額となる

譲渡費用:仲介手数料、印紙税などの売却に要した費用

なお、譲渡所得税の税率は、土地や建物を所有していた期間によって異なります。以下の表を参考にして下さい。

所有期間所得税住民税
5年を超える(長期)15.315%5%
5年以下(短期)30.63%9%

【不動産売却にかかる費用】

・仲介手数料

不動産業者に支払う手数料で、取引価格に応じて上限が法律で定められています。詳しくは以下の表を確認して下さい。

取引金額仲介手数料
200万円以下取引金額の5%
200万円超400万円以下取引金額の4%+2万円
400万円超引金額の3%+6万円
引用:「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(国土交通省)

・抵当権抹消費用

不動産に抵当権が設定されている場合は、法務局で抹消手続きを行う必要があります。

手続きそのものは1回1,000円の費用で済みますが、司法書士に依頼する場合は別途1万円前後の依頼料がかかります。

特に、ローンの残債が残っている場合は手続きが複雑になるため、司法書士に依頼するのが一般的です。

・建物の解体費用

古い建物を解体して土地を売却する際は、解体費用が発生します。

相場は最低でも100万円以上かかることが多いため、事前に費用を見積もっておくと安心です。

・測量費用

隣地とのトラブルを避けるために、売却前に隣地との境界線を明確にするための測量を行うのが一般的です。

費用の目安は、隣地が民有地の場合で約40万円程度道路と接している土地では約70万円程度が相場です。

・水道引込工事の費用

土地に水道管が引かれていない場合は、水道引込工事が必要になります。

この工事が未実施だと、買主が建物を建てる際に大きな負担となるため、あらかじめ整備しておくと売却がスムーズです。

費用は土地の状況によって異なりますが、最低でも30万円以上はかかると思っておきましょう。

・埋設物の撤去費用

土地の地中に瓦や鉄屑、コンクリートなどの埋設物が残っている場合は、撤去工事が必要です。

撤去費用は埋設物の種類や量によって変わりますが、一般的には10万円から30万円程度を見込んでおくと良いでしょう。

事前に調査を行い、買主への説明も忘れないことが重要です。

隣地との境界を確定していなかった

不動産売却後に起こりやすい失敗として、隣地所有者との境界トラブルが挙げられます。

多くの場合、事前に隣地との境界を確定していなかったことが原因です。

そのため、売却前に測量をおこない、境界を明確にしておくことが一般的な対策です。

特に、長年放置されている土地は境界線が曖昧になっていることが多く、注意が必要です。

測量をおこなう際は、専門家である土地家屋調査士に依頼します。

信頼できる調査士を探すには、土地家屋調査士会の公式サイトを活用すると良いでしょう。

参考:日本土地家屋調査士会連合会

2.不動産売却の業者選びにおける失敗例

業者選び

不動産売却の業者選びにおける主な失敗例は、

  • 複数の業者に査定を依頼しなかった
  • 会社の規模だけで選んでしまった
  • 業者の得意分野を理解せず選んでしまった
  • 査定金額だけで業者を選んでしまった
  • 媒介契約の種類を理解せず契約した

以上の5つです。それぞれ解説します。

複数の業者に査定を依頼しなかった

不動産の査定依頼は、複数の業者に依頼するのがセオリーです。

一社だけに依頼すると、相性の良い業者や適切な査定額に出会える可能性が低くなります。

また、複数の査定結果を比較することで、相場観が身につき、仲介手数料や取引価格の交渉がしやすくなります。

売却を成功させるためには、信頼できる業者を見極め、慎重に選びましょう。

会社の規模だけで選んだ

「大手だから安心」といった理由で業者を選ぶのは危険です。

確かに大手不動産会社は認知度や資金力があり、広いネットワークを持っています。

しかし、売却の成否を握るのは担当者の力量や相性であり、会社の知名度だけでは、担当者の対応や能力は判断できません。

取引価格や売却スピードは担当者次第なため、担当者の実績や信頼性を確認することが重要です。

業者の得意分野を理解せず選んだ

不動産業者には得意分野があり、売却する物件の種類や条件に応じて適切な業者を選ぶことが重要です。

分野には主に「売買」「賃貸」「管理」「開発」の4つがあります。

さらに細かく言えば、同じ「売買」でも、「戸建の売買」を得意とする業者と、「アパートやマンションの売買」を専門とする業者では、知識や経験に大きな違いがあります。

注意したいのは、「賃貸中心の業者が売上確保のために売買業務に手を出す」といったケースもあり得る点です。

そのようなケースでは、業者側に十分な経験やノウハウがない場合があります。

売却する不動産に適した業者を選ぶために、業者の得意分野を事前に確認しましょう。

査定金額だけで業者を選んだ

複数の業者に査定依頼をした際、最も高い査定額を提示した業者に依頼するのは要注意です。

査定額はあくまで目安であり、実際の取引価格とは異なることが多いからです。

中には、集客目的で相場より高い査定額を出す業者も存在します。

そのような業者に依頼すると、売却活動が長引き、結果的に希望価格を下回ることもあります。

査定額だけで判断せず、業者の信頼性や販売戦略も考慮しましょう。

媒介契約の種類を理解せず契約した

正式に業者を選んだ後は「媒介契約」を結びますが、契約形態を理解せずに契約すると、売却が思うように進まないことがあります。

主な媒介契約の種類は、以下の3つです。

スクロールできます
契約の種類内容業者の報告義務向いている人
一般媒介契約複数の業者と契約可能。売主自身で買主を探せるなし好立地の物件や自分で探せる人
専任媒介契約1社に限定するが、売主自身も買主を探せる。2週間に1回以上業者を絞りたい人
専属専任媒介契約1社に限定し、売主自身で買主を探すことは不可。1週間に1回以上売却スピードを重視したい人

例えば、立地が良く売れやすい土地なら一般媒介契約でも十分ですが、売れにくい土地の場合は、業者が優先的に動いてくれる専任媒介契約や専属専任媒介契約の方が向いています。

前提として、不動産業者は複数の案件を抱えているため、売れやすい物件を優先しがちです。

土地の需要やポテンシャルをしっかりと見極め、契約形態を慎重に選びましょう。

3.不動産売却の販売活動における失敗例

販売活動

不動産売却の販売活動においてよくある失敗例は、

  • 売却のタイミングを見誤った
  • 販売活動の内容を確認していなかった
  • 内覧の準備が不十分だった
  • 買主への説明が不十分だった
  • 売り急ぎで妥協してしまった

以上の5つです。それぞれ解説します。

売却のタイミングを見誤った

不動産売却で成功するには、売却のタイミングが非常に重要です。

タイミングを誤ると、想定よりも価格が安くなったり、税金の負担が増えたりするリスクがあります。

なお、売却のベストタイミングを見極めるためには、市場動向や税金の状況をよく確認しておくことが大切です。

販売活動の内容を確認していなかった

「プロに任せておけばいいや!」と不動産業者に丸投げし、販売活動の内容を把握していないと、思わぬトラブルに繋がることがあります。

例えば、売却の事実を知られたくないのに、業者が近隣住民向けにポスティングをおこなうケースです。

販売手段には、ポスティング、自社サイトへの掲載、web広告など様々な方法があります。

トラブルを未然に防ぐためにも、事前に販売活動の内容を確認し、希望をしっかりと伝えておきましょう。

内覧の準備が不十分だった

不動産業者が熱心に販売活動をおこなって買主候補を見つけても、内覧の印象が悪ければ売却が失敗する可能性があります。

具体的には、ゴミが散乱していたり、悪臭がしたりと、管理が行き届いていない物件は飼い主への印象が悪いです。

業者が作ってくれたチャンスを無駄にしないためにも、買主が心地よく内覧できるよう準備しておきましょう。

買主への説明が不十分だった

事前の説明不足が原因でトラブルになるケースも少なくありません。

特に、売却後に瑕疵(かし)が見つかると、買主から追加費用を要求されたり、契約違反を理由に訴えられたりする可能性があります。

例えば、地中に埋設物が発見されたり、雨漏りが後から発覚したりするケースです。

こうした問題を回避するためにも、土地や建物に不備がある場合は事前に説明し、買主に納得してもらうことが重要です。

〜瑕疵(かし)とは?〜

不動産における瑕疵とは、土地や建物に生じた欠陥や不備、傷などのことです。

急いでいて妥協して売った

不動産売却では、焦りが損失に繋がるケースがよくあります。

売り急いでいると、取引価格や条件面で妥協しがちです。例えば、急な離婚や相続税の支払い期限が迫っている場合などが挙げられます。

さらに、売却を急いでいることが買主に知られると、安く買い叩かれる可能性も高まります。

不動産の引き渡しにはどれだけ早くても半年程度かかるのが相場ですので、余裕を持ったスケジュールを立てましょう。

4.不動産売却の決済・引渡しにおける失敗例

決済・引渡し

不動産売却の決済・引渡しにおけるありがちな失敗例は、

  • 売買契約から決済・引き渡しまでの期間が長引いた
  • 火災保険の解約を忘れて返還金を損した

以上の2つです。それぞれ解説します。

売買契約から決済・引き渡しまでの期間が長引いた

売買契約から決済・引き渡しまでの期間が長すぎると、取引がスムーズに進まないだけでなく、以下のようなリスクが生じます。

  • 買主の状況変化でキャンセルの可能性が高まる
  • 固定資産税などの負担が増える
  • ローン残債の解約返還額が減る
  • 火災保険の解約返還金が少なくなる

このように、決済・引渡しまでの期間が長引くリスクは計り知れません。

特別な理由がない限り、短期間で取引を進めることをおすすめします。

火災保険の解約を忘れて返還金を損した

火災保険は契約期間満了前に解約すると、未経過分の保険料が払い戻されます。

しかし、これを知らずに解約を忘れると、返還金を受け取れない場合や金額が減ることがあります。

引渡し日が確定したタイミングで、火災保険やその他関連する保険の解約手続きを忘れずに進めておきましょう。

5.不動産売却後の確定申告における失敗例

確定申告

不動産売却後の確定申告における主な失敗例は、

  • 資金不足で納税ができなかった
  • 特例や控除を見逃していた
  • 損失が出たのに損益通算を活用しなかった

以上の3つです。それぞれ解説します。

資金不足で納税ができなかった

不動産売却で売却益(譲渡所得)が出た場合、確定申告をおこない、譲渡所得税を納める義務があります。

譲渡所得税とは、不動産売却によって得た利益に課される「所得税+住民税+復興特別所得税」の総称です。

売却した翌年の2〜3月には所得税と復興特別所得税を、さらに翌年度の6月以降には住民税を支払う必要があります。

これらの納税に備え、事前に正確な納税額を計算して資金を確保しておきましょう。

譲渡所得税の税率は所有期間によって異なります。以下の表をご参照ください。

所有期間所得税住民税
5年を超える(長期)15.315%5%
5年以下(短期)30.63%9%

特例や控除を見逃していた

譲渡所得税には、条件を満たせば適用される特例や控除があります。

以下のような場合に控除が適用されるため、これらの制度を活用すれば大幅な節税が可能です。

特別控除の対象となり得るケース控除額
マイホーム(居住用財産)を売却した3,000万円
特定土地区画整理事業のために土地を売却した1,500万円
特定住宅地造成事業のために土地を売却した2,000万円
公共事業などのために土地・建物を売却した5,000万円

これらの制度を利用すれば、譲渡所得がゼロになる場合もあり、譲渡所得税の負担を完全に回避できることもあります。

逆に、該当する特例や控除を利用しないと、数百万円以上の損失を被る可能性があるため注意が必要です。

損失が出たのに損益通算を活用しなかった

不動産売却で赤字が発生した場合でも、損益通算を活用することで所得税の負担を軽減できる可能性があります。

損益通算とは、不動産売却の損失を他の所得(例:給与収入など)と合算し、所得全体を減らすことで節税につなげる制度です。

特に、給与から所得税が天引きされている会社員の場合、確定申告で損益通算をおこなうと税金の還付を受けられる可能性があります。

利益が出たときだけでなく、赤字のときも確定申告によって税負担を軽減できることがあるので、覚えておきましょう。

不動産売却で成功するコツ

不動産売却成功

不動産売却における失敗例や注意点を押さえたところで、ここからは不動産売却で成功するコツを解説します。

  • 準備
  • 不動産業者選び
  • 販売活動
  • 決済・引渡し
  • 確定申告

以上の順に解説するので、参考にしてください。

1.準備編

準備

取得費用は徹底的に確認する

取得費用とは、土地や建物を購入・建築する際にかかった費用を指します。

この取得費用を正確に把握できるかどうかで、不動産売却後に手元に残る金額が大きく変わります。

なぜなら、取得費用が譲渡所得額に直接影響し、それに基づく譲渡所得税の額も変わるからです。

 譲渡所得額 = 取引価格 − (取得費用 + 譲渡費用)

不動産を取得した当時の売買契約書があれば、取得費用を確認できます。

売買契約書が見当たらない場合は、以下の書類を探してみましょう。

  • 売買契約書の写し
  • 通帳の出金履歴
  • 金銭消費貸借契約書(住宅ローン契約時の書類)
  • 市街地価格指数(当時の土地価格を算定可能)
    • 一般財団法人日本不動産研究所が公表
    • 必要に応じて不動産鑑定士に依頼可能
  • 着工建築物構造別単価(当時の建物建築費を算定可能)
    • 一般財団法人建設物価調査会が公表

なお、取得費用を確認できる書類がない場合、法律上、取引価格の5%を取得費用として計上することが認められています。この金額を「概算取得費」と言います。

しかし、概算取得費は実際の取得費用よりもかなり少なくなることがほとんどです。

そのため、概算取得費を用いると譲渡所得額が大きくなり、結果的に譲渡所得税の負担が増えるリスクがあります。

どうしても取得費用を確認できる書類が見つからない場合は、不動産鑑定士の提供する「不動産取得費査定サービス」の利用を検討しましょう。

このサービスでは、購入時の取得費用に相当する金額を算出し、鑑定意見書として発行してもらえます。

取得費用が不明で困っている場合は、こうした専門サービスの利用も検討してみてください。

2.不動産業者選び編

業者選び

相場価格を把握しておく

不動産業者を選ぶ際に最も重要なポイントのひとつが、相場価格を事前に把握することです。

以下のようなツールを活用して相場観を掴んでおきましょう。

不動産情報ライブラリ:過去の売買取引事例を確認可能

全国地価マップ:路線価を検索可能

国土交通省地価公示・都道府県地価調査の検索:地価公示価格を確認可能

これらの情報を基に相場を理解した上で、複数の不動産業者に査定を依頼します。

相場を把握していれば、提示された査定価格が現実的かどうかを見極めやすくなります。

査定価格と対応を総合的に判断する

査定依頼を出すと、多くの場合、不動産業者は「簡易査定」をおこないます。

簡易査定とは、現地調査を伴わず、土地の基本情報や周辺の相場データをもとに査定価格を提示するものです。

覚えておきたいのは、査定価格は相場に対して低すぎても高すぎても問題があるということです。

低すぎる場合は売却益が少なくなり、高すぎる場合は現実味のない価格設定となり、売却が長引く可能性があります。

また、担当者の対応や説明の丁寧さ、質問への回答なども重要な判断材料です。

査定価格だけにとらわれず、担当者の信頼性や提案力を含めて総合的に評価しましょう。

3.販売活動編

販売活動

トラブルを未然に防ぐ準備をする

不動産売却をスムーズに進めるためには、買主が抱きやすい不安要素を事前に取り除くことが大切です。

万全を期すのであれば、以下の2つに対応しましょう。

1. 隣地との境界を確定する

隣地との境界線が曖昧な土地は、購入後に隣地所有者とのトラブルが発生する可能性があります。

そのため、買主から購入条件として境界確定を求められることが多いです。

特に古い土地では境界が不明確なケースが少なくありません。

販売活動を始める前に、土地家屋調査士に測量を依頼し、境界を明確にしておきましょう。

2. 土壌汚染の有無を調査する

もう一つの懸念は土壌汚染です。汚染が確認されれば除去費用が発生し、買主にとって大きな負担となります。

特に、長期間放置されていた土地では、汚染の可能性が否定できません。

土壌調査費用の相場は900㎡あたり20万円〜60万円程度であり、負担は大きいですが、買主の信頼を得るためには必要な経費と考えましょう。

調査結果を示すことで、不動産業者も自信を持って販売活動を進められます。

値引き交渉を見越した価格設定をする

土地の販売価格を設定する際は、相場価格より少し高めに設定するのがおすすめです。

これは、買主からの値引き交渉がほぼ確実に行われるためです。

ただし、高く設定しすぎると買主がつきにくくなるため、値引きを前提とした適度な上乗せにとどめましょう。

4.決済・引渡し編

決済・引渡し

売買契約から決済・引き渡しまでの期間を短縮する

売買契約の成立後は、決済と引き渡しまでの期間をできるだけ短縮することが重要です。

この期間が長引くと、以下のようなデメリットが発生する可能性があります。

  • 買主の状況変化によるキャンセルリスクの増加
  • 固定資産税などの負担が増える
  • ローン残債の解約返還額が減少
  • 火災保険の解約返還額が減少

特に、固定資産税や解約返還額の減少による負担増は数十万円規模の損失につながることがあります。

売主と買主のスケジュールを調整し、特別な事情がない限り短期間で決済・引き渡しを完了することを目指しましょう。

5.確定申告編

確定申告

使える特例や控除を事前に確認する

不動産売却で利益が出た場合、発生する譲渡所得税を軽減するために、事前に活用できる特例や控除を確認しておきましょう。

以下で、代表的な2つの控除制度を解説します。

【マイホームの3,000万円特別控除】
マイホーム(居住用財産)を売却する際に適用される特例で、最大3,000万円までの譲渡所得控除を受けられます。

ただし、収益物件(アパートや賃貸マンションなど)は対象外となるため注意が必要です。

適用には以下のような要件を満たす必要があります。

  • 売却する家屋が自ら居住していた家屋、またはその土地や借地権であること
  • 住まなくなってから3年以内(該当年の12月31日まで)に売却すること
  • 売却した年の前年および前々年に、同じ特例や損益通算、繰越控除の特例を利用していないこと

ただし、以下のケースでは対象外となります。

  • この特例を目的として入居したと認められる家屋
  • 仮住まいとして一時的に使用した家屋
  • 主に趣味や保養目的で所有していた別荘など

詳しい条件については、国税庁の「No.3302 マイホームを売ったときの特例」をご確認ください。

参考:No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁

【相続空き家の3,000万円特別控除】

相続した空き家を売却する場合も、条件を満たせば3,000万円の特別控除を受けられることがあります。

この控除は、昭和56年5月31日以前に建築された戸建住宅が対象で、「相続空き家の3,000万円特別控除」と呼ばれています。

詳細な適用条件については、国税庁の「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を参照してください。

参考:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁

領収書や証拠書類を保管する

譲渡所得税の負担を軽減するには、譲渡費用を正確に計上することも重要です。

譲渡費用とは、土地や建物を売却するために必要だった経費のことで、譲渡所得の計算に以下のように反映されます。

譲渡所得 = 取引価格 − (取得費用 + 譲渡費用)

譲渡費用を増やせば、その分譲渡所得が減少し、譲渡所得税の節税につながります。譲渡費用として認められる一般的な項目は以下の通りです。

  • 不動産業者への仲介手数料
  • 売主が負担した印紙税
  • 建物の解体費用
  • 地下埋設物の撤去費用
  • 貸家売却時の立退料

これらの費用を証明する領収書や書類は、確定申告まで必ず保管しておきましょう。

詳しい判断基準は、国税庁の「裁判例から見た譲渡費用の概念と具体的事例の判断基準」を確認してください。

参考:裁判例から見た譲渡費用の概念と具体的事例の判断基準|国税庁

まとめ

不動産売却を成功させるには、事前の準備と臨機応変な対応が欠かせません。

必要書類の不備や相場価格の確認不足は売買取引の遅延やトラブルを招く可能性があります。

また、税金や費用の計算間違いをしたり、境界確定や土壌調査を怠ったりすると、後々トラブルが発生し、予想外の出費となることもあります。

本記事で紹介した失敗例と成功のコツを押さえ、準備段階から確定申告まで一つひとつ丁寧に進めることが重要です。

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この記事を書いた人

福岡出身の二児の母。これまで不動産メディアで3000万円規模の売却リードを複数獲得。現在は複数のクライアントを抱えながら、WEBメディア「えんがわ」の制作も担当。

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